手作り布団と打ち直しのお話
綿一筋、手作り布団と打ち直しを専門に、つくば・土浦地区の手作り布団の8割を手掛ける齊藤綿店4代目の齊藤一雄と申します。
皆さんは、手作り布団でお休みになった経験がありますか。
自然な反発が特長の日本古来の和布団は、6層構造の綿で寝心地も良く、湿気の多い日本の気候に合った生活必需品でした。
近年では安い大量生産品に押され、綿をふっくらとよみがえらせる「打ち直し」という言葉自体を知らない人もいらっしゃると思います。
当店の手づくり布団は、適度な硬さとコシがある「インド綿」を100%使用しています。
例えば、1枚の掛け布団に使う綿の量は3.3キロ。
綿を手でちぎり、掌でなだらかな段差を感じながら張っていく「五感を使った製作」です。
最も技術のいる角の部分を仕上げ、綿と生地がずれないように針と糸で縫い上げて完成です。
布団づくりに必要な道具は裁ちばさみ、指抜き、針と針刺し、糸切りなどいたってシンプル。その昔、「布団屋は針と糸さえあれば食っていける」とさえいわれた時代がありました。
大量生産品は年月が経てば粗大ごみとなってしまいますが、和布団は定期的なメンテナンス(打ち直し)を欠かさなければ何十年でも使い続けられる、持続可能なエコ商品なのです。
皆さんのお宅の押し入れに、眠ったままの布団はありませんか?
中にはまだまだ活躍できる素晴らしい綿が詰まっているかもしれません。